人気絶頂中の「リアル脱出ゲーム」。
今年の3月より様々なイベントに参加しましたが、色々とまずいんじゃないかと思うところがありましたので書いてみたいと思います。今日は1回目(全2回を予定)
※なお今回は「リアル脱出ゲーム」、すなわちSCRAPのみを対象とした考察となっております。他団体については言及しておりませんのでご了承ください
【1】リアル脱出ゲーム参加人数の推移
※国内公演での参加人数です
参考リンク:
年々増えており、2014年は半年で20万人を超えているそうです。
その背景としては謎解き自体がブームになっていることも有りますが、漫画作品とのコラボや書店や街といった周遊型イベントの増加も大きな要因であると考えられます。
【2】リアル脱出ゲーム参加人数 今後の推移
では、この右肩上がりのグラフは一体いつまで伸びていくのでしょうか?
100万人まで突破してしまうのでしょうか。それとも近いうちにピークが来て勢いは落ちていってしまうのでしょうか。
自分は以下のように考えています。
理由は2つ有ります。
(1):脱出率10%の罠
(2):初心者に優しくない展開
今回の記事では(1)について特に語ってみたいと思います。(2)については翌日の記事でまとめてみたいと思いますので、よろしくお願いします。
※脱出率10%としていますが、説明のため分かりやすい値で記載しております
【3】脱出率10%の罠とは?
SCRAPといえば「脱出率数%」と言われるほど、非常に難しい公演が多いです。これはSCRAP代表の加藤さんのポリシーから来ており、様々なイベントの脱出率は7~10%に抑えるようにデバック・調整を実施しています。
この値は、SCRAPがイベントを開始した当初からブレない数字であり、低脱出率を一つのポイントとして固定しているようです。しかし、自分はここに問題があるのではないかと考えています。
脱出率は7~10%とは「参加者の内7~10%しか脱出出来ない」ことを示します。以下の図をご覧ください。
これはSCRAPがリアル脱出ゲームを始めた頃(2007~2009年)に公演に参加した人たちを示します。イベント自体が初めて始まったため皆が脱出初心者です。この時は、その中から閃いた7~10%の人たちが脱出できました。
公演数が増え情報や、対策方法が溢れている2014年現在はこのような図になります。
※データは公演に参加した体感とTwitterのつぶやきより
参加者の中には、脱出経験者の割合が増えています。そしてその脱出経験者が、脱出成功者の大変を占めるようになっているのです。つまり何かというと、初心者の脱出成功率が極端に減ったことを意味します。
では、なぜ減ったのでしょうか?
【4】なぜ初心者は脱出できなくなったのか?
その鍵は「脱出率10%」にあります。
以下のグラフをご覧ください。
※データは公演に参加した体感と過去/現在公演の内容比較
これは、「謎の難易度」「経験者の謎解き力」「初心者の謎解き力」のグラフです。
※「謎の難易度」はSCRAPの公演難易度です
特に見てもらいたいのは以下の点です。
赤:時期を追うごとに公演難易度は上がっている
緑:時期を追うごとに経験者の謎解き力は上がっている
青:初心者の謎解き力は変化しない
(謎解き初参加の人の謎解きスキルは変わらない)
ここに構造的な欠陥があるのです。
SCRAPの公演では毎度煽りますよね。
「リアル脱出ゲームでの悔しさはリアル脱出ゲームでしか晴らせません」
その通りです。しかしこれによって参加者は傾向と対策を研究しだしました。
するとどうなるかというと、「経験者の謎解き力」が上がりますので、「謎の難易度」が変わらなければ脱出成功しやすくなります。つまり「脱出率10%」を超えてしまうのです。するとSCRAPは「脱出率10%」を維持する必要がありますから「謎の難易度」をあげます。
このサイクルを幾度と無く繰り返すと、以下のグラフとなるのです。
しかし一方で「初心者の謎解き力」は変わりませんから、②の差異はどんどん広くなります。初心者は訳の分からない謎に直面し、脱出に遠く及ばない所でリタイアするのです。
するとどうなるか? 初心者「もう二度と来ない」 となります。
よって、「リアル脱出ゲーム」でこのまま謎の難易度が上昇していけば行くほど、初心者の数がどんどん減っていってしまうかもしれません。
【5】ではどうすればいいのか?
一番は、経験者・初心者で公演を分けることです。
無双する経験者はもっと難しい公演に突っ込んでしまえばいいのです。
彼らはまだ見ぬ謎を求めています。大丈夫。
さいごに
色々書きましたが、全然的外れだったらどうしよう。
リアル脱出ゲームがとても好きなので杞憂に終わってくれればいいのですが、まだまだ伸びしろがあると思うので今後に期待していきたいです。
翌日に2日目と題して似た記事を書きますのでそちらもどうぞ!
では。