こんにちは、 ぎんです。
今回はSIG-NAZOが主催する謎解きイベントワークショップ2019「謎解きイベントの作り方」に参加してきましたので、その様子とセッションの内容についてレポートしていきます。
基調講演
そもそもSIG-NAZOとは?
NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)から謎解きを専門として立ち上がった団体。要するに謎解きに関して色々考える人たち。
※文化的、歴史的、今後の方向性、現在の様相・・・などなど
謎解きイベントとは
SIG-NAZOが定義する謎解きイベントは「最終目標を達成するために謎解きを利用しているイベント」。
隣接ジャンルは以下の通り。
- ライブRPG
- AR/VR
- ARG
- ボードゲーム/TRPG
- マーダーミステリー
- ミステリー/推理
謎解きイベントで大事なこと
イベントを構成する要素は以下の通り。
- コンテンツ
- 演出
- 運営
- 告知
- イベントを実施するうえでの安全性
- 危険な場所や道具はないか
- 負傷、事故、緊急時対応は万全か、万が一のための保険
- 遵法性を気にすること(意外と見落とされがち)
- 消防法
- 食品衛生法
- 旅行業法
- 税制
- 道路交通法
- 著作権
- 商標権
- ※違法性に関しては、SIG-NAZOに相談すると参考意見をもらうことができる(商業、同人問わず)
※安全性や遵法性は見落とされがちなので注意!
発表1:謎解きの企画とコンテンツのブラッシュアップ方法
講義内容
- ゲーム制作の根幹
- 仕様の決め方
- ボトルネック対策
- 参加者視点
1:ゲーム制作の根幹
- 楽しいかどうかを決めるのは参加者
- 参加者に楽しさが伝わらなければ自己満足で終わる
- どうやったら参加者につたわるのか?
2:仕様の決め方
- 参加者に楽しさを伝えるためにターゲット層を絞った仕様にする
- 排他的にならずターゲット層以外を取り込む仕様を追加する
- 記憶に残るコンテンツになる
3:ボトルネック対策
- 制作過程ではどこかで「うまくいかないこと=ボトルネック」がある
- 解消方法はこだわりと執着をみきわめること
- ボトルネックの原因を分析する
- やりたいこと(伝え方)が足かせになる場合がある
- 対策できない場合はやりたいこと一度捨てる という方法も
- 伝え方は1通りではない
4:参加者視点
- どうやって伝えるのか?
- 参加者の思考の動線を考えるようにする
- 一般的な参加者の視点
- テーブルに対して紙が多い
- チェッカーの待ち時間が発生
- 難解なパズルでほかの人が手持無沙汰
- これらは事象であって本質ではない
- 本質的な参加者の視点
- 参加者が何を感じるのか
- 参加者にとって何が楽しいのか参加者の視点になって考える
発表2:「謎」とはなんなのか。
発表者:海野名津紀(いもけんぴ。)(早稲田大学謎解き企画algo代表/東京大学謎解き制作集団AnotherVision)
※謎解きイベント制作のために大学を選んだとのこと。
1:客は何を求めて謎解きイベントにくるのか?
- 成功体験
- 無理難題への体験
- 物語体験
- スタッフとのからみ
様々だが共通としては、すべての謎が紐解けたときの「快感」を得るため。
2:快感の源とは?
- 一見意味のないものだが、考えていくと意味のあるものとして認識できるようになる。
- 記憶・経験を掘り起こし、それと目の前の情報がむずびつくことになるので快感につながる
要するに「最初は正体がわからないものが、導線や遠回しの方法で解決できること」。つまり、謎解きはあくまで「快感」を与えるための、「正解への道筋が用意されたエンターテイメント」でなければならない。
3:具体的な話
謎解きにおけるステップ方式(Step1→Step2→…)
- 進捗がわかりやすいメリットがある
- メタ的なものが発生するためどこか現実感・ゲーム感が強まるデメリットも
謎解きの典型パターン(50音表、和同開珎)
- 典型的なパターンは自明なので快感につながらない
- 既出のものは謎ではない
4:謎制作とは
内容・正体などがはっきりわからない、あくまで「未知」のものを解き筋を残しつつ、頭の中にある情報と結びついたときに快感を得られる一種の「エンターテイメント」として提供すること。
そのため、仮に無料のイベントであったとしても、既知の問題を出すのはNG。少しでもお客様のより記憶に残る体験となるのかを第一に考えること。
エンターテイナーに全力で徹しろ。何かを語りたいなら作品で語れ。
発表3:謎を作った「後」の話
発表者:青木佑太(東京大学謎解き制作集団AnotherVision)
1:謎解きイベントの種類
- ホール型〇
- ルーム型
- 周遊型
- スタジアム型
- フェス型〇
〇をターゲットにして話を進める
2:謎解きイベントの流れ
3:公演運営とは?
謎解きイベントを開催するために必要なすべての作業(やることが多い分、見逃すことも多い)
前日までにやること
- 制作
- テストプレイ
- 必要物準備(印刷物、備品、会場、曲、スライド、映像)
- 手順確認(設営図、マニュアル、備品管理リスト)
- 設営図:人の動線を書いておく、荷物置き場も書くこと
- ※あくまで一部です
当日にやること
- 解説:客に寄せた解説が必要(その回でよくつまっていたとこ
- 解説スライド:シンプルにして補足説明は口頭でする
4:イベント中の最大の敵は?
トラブルが起きた時にどうするか
→大切なのは「情報共有」と「役割分担」
客にとって運営がしっかりしていることは「当たり前」のため、イベント中はトラブルの発生に常に気を配っている。AnotherVisionでは以下のような体制を敷いており「
一瞬でも迷ったら上にあげてくださいというのを徹底している」とのこと。
運営責任者(重大トラブル)
-チェックポイントごとに責任者
-スタッフ
実際に謎解きを作ってみよう!
謎を作るというよりは、イベントの骨子やテーマ、最後に至る一連の流れについての企画を作るような感じです。
ということでぎんのチームが作ったのがこちらのコンセプト。 高校生の方がチームにいらしたのでその方の高校をテーマに考えました。
※ブログで培った情報整理力が十二分にいかされている写真だ…(自画自賛)
他チームのもぺたり。
さいごに
SIG-NAZOが主催する謎解きイベントワークショップは毎年開催しています。
参加者は学生・社会人・プロ・アマ問わず参加していますので、学校で謎解き企画してみたいんだよなあとか、趣味で団体やってみたいんだよなあという方は参加されてみてはいかがでしょうか。