初めてのミステリーイベントに参加してきた
こんばんは (@tenhouginsama)です。
初めてのミステリーイベント、PT企画の「????」に参加してきました。
今回のイベントはミステリー作家有栖川有栖氏の小説をイベント化したもので、タイトル名の「????」には原作名が入るのですが、ネタバレ回避のため伏せているそうです。(有栖川有栖 - Wikipedia)
原作があるイベントって、原作知ってる参加者からしたら答え知ってるのと同じだと思うのですが、ミステリーイベントではよくあることなんでしょうか?
PT企画公式サイト
1:ミステリーイベントとは?
いままではリアル脱出ゲームやリアル謎解きイベントに参加してはいましたがミステリーは初めての体験でした。ということで、新鮮な気持ちで色々書いてみたいと思います。
どんなイベントなのか?
今回参加したイベントは「PT企画」という関西の団体のイベントで、推理作家のある小説を題材時にしたイベントとなっています。
公演の流れはこんな感じ。
冒頭の説明(10分)
↓
事件の説明(演劇)
↓
推理(参加者が解く)
↓
解答の説明(演劇)
上記のような流れでイベントが進みます。
冒頭に事件の概要が説明されます。その後には役者が登場し、参加者の目の前で当時の事件の様子が再現されます。参加者は再現された事件を解き明かすことを最終目標とします。
演劇後、参加者は提示された状況からトリックと犯人を考え、配られた用紙に記入し提出します。その後、結果発表があり一番真実に近かった方に賞が与えられます。
謎解きのようにチーム戦ではなく、個人で挑戦するものとなりますので、他の人との会話は今回のイベントでは必要ありませんでした。
※ミステリーナイトと呼ばれるホテルを貸し切って行う、大型のイベントではお互いの情報共有も認められており情報交換も行われるそうです
2:実際に参加した時の流れ
開始前
会場に案内されると、人数分の椅子と数名で使える机がありました。そして前方には舞台がありました。
席につくと資料が置かれており、ミステリーイベントの楽しみ方とプレイ方法、そして演劇に登場する登場人物と、最終的に解答する内容(トリックの内容と犯人)がありました。
参加者の最終目標は、これからはじまる演劇をみてトリックと犯人を予想してあてることです。また参加者の中で一番真実に近い人は「名探偵賞」と呼ばれる評価をいただけるとのことでした。
※賞の種類は公演や団体によって違いがある
事件を再現した演劇がはじまり、舞台の上では役者さんが有栖川氏の小説を再現します。参加者はその演劇を見ながら、気になる情報を色々とメモしていきます。
※気になる点はたくさんメモしたほうがいいです
推理~発表
演劇が終了すると、推理パートとなります。このパートで参加者は「トリックの内容と犯人」を紙に書きます。
トリックと犯人を書くだけでいいなら簡単なのですが、どうもこの類のイベントは正確な事をたくさん書くと点数が伸びる加点方式のようで「核心をつく一言」を書くだけではなく、付随情報(動機や時間など)を細かく描写したほうが点数が高くなるそうです。
ちなみに、ミステリーイベントの常連聞いたコツは以下の通りです。
・丁寧な文字を書く(汚いと読んでもらえない)
・たくさん書く(加点方式のため、細かいこともたくさん書く)
・当たり前の事も書く
文章を書き終え、提出すると解決編となります。解決編では、探偵が事件の解答を劇形式で教えてくれます。この間に裏ではスタッフさんが、全員分の答案用紙を採点しているらしいです。
最後に、一番真実に近い人から順に「名探偵賞」が発表されます。今回、ぎんはなんとかお情けの「名探偵賞」をいただくことができました!
3:ミステリーイベントの面白いところ
ミステリーイベントの面白いところはこの辺りかなと思っています。
- 演劇でミステリーを表現しているところ(演劇を見るのが好き)
- ミステリーを解けるというところ(ミステリーが好き)
ミステリーを解くというのは、著者と読者の対決を意味しています。そして、謎解きにおいて「中学生卒業レベルでも解ける」というレベル設定があるのと同じように、本格的なミステリーには対決のために推奨されるいくつかのルールがあります。
これらをベースとすることで、一定の枠組みの中での謎解き対決を楽しむことが出来るわけです。(実際に守られているかどうかは作者・作品によるところだと思いますが)
ノックスの十戒
- 犯人は物語の当初に登場していなければならない
- 探偵方法に超自然能力を用いてはならない
- 犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない
- 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
- 中国人を登場させてはならない (この「中国人」とは、言語や文化が余りにも違い、既存の価値観や倫理観が通用しない外国人全般、という意味である)
- 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
- 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
- 探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
- “ワトスン役”は自分の判断を全て読者に知らせねばならない
- 双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない
ヴァン・ダインの二十則
- 事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
- 作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない。
- 不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
- 探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである。
- 論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない。
- 探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
- 長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
- 占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
- 探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
- 犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
- 端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
- いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。
- 冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
- 殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
- 事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
- よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。
- プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
- 事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
- 犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。
- 自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
- 犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
- インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
- 指紋の偽造トリック
- 替え玉によるアリバイ工作
- 番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
- 双子の替え玉トリック
- 皮下注射や即死する毒薬の使用
- 警官が踏み込んだ後での密室殺人
- 言葉の連想テストで犯人を指摘すること
- 土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法
※ぎんがミステリーにそこまで明るくないため不適切であればご指摘ください
一定の枠の中で、知的遊戯を楽しむという点において謎解きに似てますね!
4:参加した印象
謎解きイベントの比較となりますが、ミステリーイベントは謎解きよりも参加層の年齢幅が広いです。(おそらく10~70代ほど)また女性の参加者が圧倒的に多かったのも印象的です。
また、他の方とも会話する必要がないので一人で簡単に参加する事ができます。ただし、付近をうろついて調査したり、コミュニケーションなどをとって情報収集するようなものはなく、机から全く離れないイベントだったので、その辺りから楽しみたい方には別のイベントがオススメです。
5:感想
謎解きにも同じ事が言えますが、どれだけミステリーに触れているか(トリックや推理のネタ)を知っているかが重要だと感じました。(普段ミステリー小説を触れないためか定石・テクニックがわからず戸惑うところもありました)
誤解を恐れずに言えば、推理はパズルに近いと思っています。
謎解きと推理を比較してみましょう。
一部の謎解きには推理的な問題もありますが、基本的には思いつき・気づきがベースとなっています。一方で推理は事実を積み上げて導きます。(積み上げた先の結論を求める事)同じ軌跡を他人が歩む事も容易です。
ここに謎解きと推理の大きな違いがあります。
一方パズル(謎解きには含まれない)は、決められたルールの下で定石・型を駆使してクリアするものです。つまり、ロジックを積み上げた先に答えがでてきます。この積み上げるという点において、パズルと推理は非常に似通っていると思います。
つまり、パズル好きはミステリー好き?
そして、ミステリー好きはパズル好き?
かもしれません。
とりあえず難しい事は置いといて楽しかったです!
他にもあるよ
ミステリイベントはPT企画の他にもあって、「E-pin」というところがとても有名です。
参加費が謎解きに比べると高いですが、その分プレイ時間も長く一度は参加してみると良いかと思います。(30年ぐらいやっているらしい)